LG Display(以下LG)が本格的にOLED(有機EL)ディスプレイの開発に舵を切ることを決意したようです。アップルが次世代iPhoneでディスプレイにOLEDを採用することなどを受け、今後急速に市場規模が拡大するとLGは見込んでいます。
サムスンに遅れを取っていることは認める
現在、OLED市場は技術・生産能力ともに、サムスンの一強といっても過言ではない状況です。事実、2017年にリリース予定のiPhone8にも、サムスンが独占的にOLEDディスプレイを供給することがほぼ確実視されています。
しかし、これをチャンスと見たのがLGです。CEOであるHan Sang Beom氏は、同社が小型デバイス向けのディスプレイ分野で遅れをとっていることを認めつつも、技術コストの問題から現段階では未だ市場規模が比較的小さいことに着目し、折りたたみ可能なディスプレイの開発も含め、今後は本腰を入れて参入するつもりであることを明らかにしました。
また、OLEDディスプレイは現時点でLG Displayの収益のうち10%にも満たないシェアにとどまっていますが、現行のLCD(液晶)ディスプレイの生産ラインを閉鎖して徐々にOLEDへと切り替えていくつもりであるとも語りました。
iPhoneへの供給を決めたい各社
明言こそされなかったものの、LGが大きく出た背景にはアップルの存在があるとみていいでしょう。LGは世界最大のLCDディスプレイ製造業者であるにもかかわらず、iPhoneに関して言えば、近年はジャパンディスプレイ(JDI)に押され気味の状況が続いています。
また先述したとおり、iPhone8からはLCDに変わってOLEDが搭載されると言われているため、LGとしてはこれを機会に改めて、ディスプレイのサプライヤーとして中核を担いたいとの思惑があります。
2017年での供給に間に合う可能性は低いですが、ニュースサイトApple Insiderは2018年ならあり得るとしています。ただ同年には、Foxconnの全面バックアップを受けている新生シャープ、そしてLCDディスプレイでは他社を圧倒してきたJDIなどの「ライバル」も、iPhoneへの供給を計画しています。
サプライヤー同士がしのぎを削る状況は、コストを下げたいアップルにとって、願ったり叶ったりの状況ではありますが、はたして今後OLED市場はどのような展開をみせていくのでしょうか。
Source:Bloomberg,Apple Insider
(kihachi)