アメリカ軍が数億ドルを投じて、次世代の指紋認証システムを開発していることが発覚しました。iPhoneでもお馴染みのように、これまでにも指紋認証システムはありましたが、新システムは、ロックを解除しようとするユーザーの指紋を検査するのではなく、指先の動きを学習してユーザーを判別する機能を有しています。
指の動きでアルゴリズムを形成
「認知的指紋」と呼ばれる、このいささか奇妙な名前の開発プログラムは、ユーザーの指紋の形といった物理的な特性からではなく、指先の動きといった行動的特性からアルゴリズムを形成し、個人を特定するシステムの構築を目指しています。
具体的には、スクリーン上でのスワイプやカーソルの移動など、普段ユーザーがモバイル端末をどう使用しているかを学習していくようです。
生体認証は新たな段階へ
開発グループは、
「何かを指で触ると指紋が残るように、テクノロジーと関わり合うとき、我々は特定の情報処理パターンに基いて行動している。そこに残るのはパターンという、『認知的指紋』だ。この生体認証プログラムは、国防省のコンピュータやハードウェアへ現在組み込まれている、さまざまな計量的かつ行動学的認証システムをさらに発展させた、次世代の生体認証能力を生み出している」
と資料で述べています。
もしこの開発が成功すれば、パスワードや二段階認証が主流の識別システム界に、大きな革命を起こすことは間違いないでしょう。
「動き」の識別はグーグルも
とはいえ、ユーザーの行動を分析して認証を行うシステムはこれが初ではありません。これまでにもグーグルが、Botの大量投稿を避けるために、簡単なチェックボックスを用いた識別システムを開発してきました。
回収したデータとAIプログラムを用いて、チェックの入れ方が人間的かどうかと、集積した個人情報ををもとに、ユーザーが人間かどうかを分析するシステムです。
ニュースサイトのZDNetによれば、アメリカ軍は将来的にスパイ活動など、高度に暗号化されたネットワークシステムが必要な場面での実用化を狙っているそうです。
指紋認証システムを突破するために切断された他人の指を使ってロックを解除する、というシーンは映画でもよく見かけますが、さすがに他人の行動までは、たとえ映画の世界でも簡単に真似できなさそうですね。
参照元:ZDNet、http://iphone-mania.jp/news-61015/
執 筆:kihachi