昨年、アップルがiPhone6/6 Plusをリリースするまでの数カ月間は、ディスプレイスクリーンにサファイアクリスタルが搭載されるとの予想が大半でした。しかし、残念ながらサファイアクリスタルの量産は不可能になり、アップルはコーニング社製のイオン強化されたゴリラガラスを採用することになりました。
iPhone6/6 Plusには改良版ゴリラガラスしか選択肢はなかった
iPhone6/6 Plusのリリース後、サファイアクリスタルの製造パートナーであるGT Advanced Technologies(GTAT)は破産手続きを開始、アップルとGTATは契約の不履行とサファイアクリスタルの製造ラインを巡って仲違いするようになってしまいました。GTATは当初の予想のようなサファイアクリスタルの品質と量産についての目処が立たず、アップルは結局iPhone6/6 Plusにゴリラガラスを採用せざるを得ない状況になりました。
サファイアクリスタルは反射率が高いという課題が
昨年の9月にはTime誌が、サファイアクリスタルは現在の形状では、厚く、重く、そして高価であり、通常の利用に際してはガラスの方がメリットがあると報じていました。また同誌はサファイアクリスタルはガラスに比べ、反射率が高く、特に明るいライトの下では反射率が倍以上となってしまい、ディスプレイの内容を認識することが難しくなると指摘していました。
新たな技術が多くの課題を解決
しかしながら、ディスプレイ技術に詳しい調査会社DisplayMateによれば、Time誌が指摘したサファイアクリスタルの反射率の問題については、ラボでテストした新たな技術により、スマートフォンディスプレイ向けには解決する模様です。
新技術により、サファイアクリスタルは量産が可能になるだけでなく、製造コストも大幅に削減できることになり、近い将来はスマートフォンディスプレイの素材として主流を占めることになると考えられています。
DisplayMateの社長であるDr. Raymond Soneira氏は、「技術的には、今回の新たな技術を導入したサファイアクリスタルは、いわゆるARコーティングとは違い、簡単にコーティングがはがれたり、サファイアクリスタルの傷に強い特徴を阻害したりするものではありません。また、これまでで一番ひっかき傷に強く、反射率も非常に低く抑えられています。さらにディスプレイスクリーンの明るさが低く済むことから、バッテリーの持続時間が延長されるメリットもあります」と述べています。
アップルは次期iPhoneでサファイアクリスタルを採用か
アップルがGTATと提携したのは、もちろんiPhoneにサファイアクリスタルを採用するのが目的だった訳ですが、現時点では今後iPhoneや他のアップル製品にサファイアクリスタルを採用するかどうかははっきりしていません。
しかし、Huawei、京セラ、Vertuなど小規模な端末メーカーの多くが、既にサファイアクリスタルをディスプレイに採用していることを考えると、アップルが、これらメーカーと同じようにサファイアクリスタルを次世代iPhoneに採用する可能性は非常に高いのではと考えられます。
参照元 : MacRumors、http://iphone-mania.jp/news-61318/
執 筆 : リンゴバックス