スティーブ・ジョブズ氏がアップルのDNAを次世代に繋げていこうと設立したアップル大学ですが、実在してエリート教育を施していることは確かであるものの、その詳細については外部の人間にとって、ほとんどが謎のままでした。しかし参加者のリークなどから、授業内容や入学方法がようやく浮かび上がってきました。
ある日アップルから招待状が届く
ニュースサイトBusiness Insiderによると、アップル大学は完全招待制となっており、生徒は所属する企業でディレクターマネージャークラスかそれ以上が対象とされ、ほとんどの生徒が役員か上席役員の職に就いているとのことです。下級役員クラスであればセッションのうちの1授業に招待され、以後ランクが上がるごとに、参加できる授業の数が増えていきます。
選ばれ方もこれまでは謎でしたが、所属する組織で将来的な成功が約束されている人物をアップルの上級管理者が選ぶのではないか、と参加した1人は語ります。その後、アップル大学の学長であるJoel Podolny氏が、学生の候補に向けて直接メールを送るようです。
授業は2日から3日に1回、数時間催され、生徒は1クラスに15人から20人とのことです。
アップルの真髄を吸収できる環境
以下は行われる授業の一部分です。
アップルの歴史:この授業は、アップルの文化を自身の死後も保持していって欲しいという、スティーブ・ジョブズ氏の切なる願いから造られたものでした。スティーブ・ジョブズ氏のような稀有な才能がなくても、アップルの歴史を学ぶことでビジネスを成功へ導くことが出来る、とアップル大学は考えています。具体的には、「どうやって経営されているのか?」「今日の姿になるまでに我々はどう進化してきたのか?」といったテーマを学ぶようです。
特化することの重要性:アップル大学は従業員たちに向けて、それぞれの業務において唯一無二の存在になれ、と教えるそうです。参加者の1人はこの考え方を、15世紀から20世紀にかけて活躍したスイスの時計メーカーになぞらえ、「1つの歯車を完璧に造ることが仕事の職人」を理想にするようなものだ、と語ります。
アップル以外から学ぶ:プロダクトデザインと開発を学ぶためにニューヨークのセントラルパークをケーススタディにしたり、かつて隆盛を極めたスーパーマーケットチェーンA&Pの衰亡の理由など、アップル以外をテーマにした授業も行われるようです。内容は最高のようで、「昔ビジネススクールで受けた最高の授業と遜色が無かった」と参加者の1人は述べています。
学長のJoel Podolny氏自身がかつてはイェールやハーバードで教鞭を取っていた人物だったこともあり、アップル大学が素晴らしい質の授業を生徒に提供していることは間違いないようです。
日本にもアップル大学からの「招待状」が届いているかどうかは謎ですが、すでに中国では、同国での人材育成と内製化を推し進めるため、新たなアップル大学の設立が決定しています。
参照元:Business Insider、http://iphone-mania.jp/news-61792/
執 筆:kihachi