Apple PayでモバイルSuicaが利用可能となって約2ヶ月の状況について、IT Proのインタビューに、JR東日本IT・Suica事業本部業務推進部次長の齊藤正浩氏が語っているので、一部をご紹介します。
Apple Pay開始後1ヶ月で約29万人の利用者増
齊藤氏によると、Apple Pay版モバイルSuica開始後の初動は「極めて好調」とのことで、2016年9月末時点で約381万人だったモバイルSuica会員数が、10月25日のApple Payサービス開始を挟んで、11月末時点で約410万人に伸びたとのことです。
会員数にはApple Payだけでなくガラケー、Androidスマホも含みますが、増加した約29万人の多くはApple Payと見られています。
会員数は、特にApple Pay開始後1週間で急増した、とのことです。事実、開始初日はSuicaの登録ができないトラブルも発生していました。
JR東日本にとってモバイルSuicaのメリットは?
JR東日本がモバイルSuicaの導入を推進する理由は、駅の「キャッシュレス化」にある、と齊藤氏は語っています。
Suicaカードが普及したことで、自動券売機を減らし、低コストなIC専用自動改札機が増えて駅のスリム化が進んだそうで、モバイルSuicaによりその流れが強まることが期待されています。
カード式Suicaは自動券売機で現金をチャージするのが主流ですが、クレジットカードからのチャージが主流のモバイルSuicaが普及することで現金の取扱いを更に減らせる、と期待が語られています。
その一方で、ユーザーが慣れ親しんだ現金チャージにモバイルSuicaで対応するため、Apple Payを含むモバイルSuicaに現金チャージ可能な「赤い券売機」の設置も進められています。
電子マネーの利用は夏に伸びる
Apple Pay開始による、Suica電子マネーを使ったショッピング利用の増加は細かく分析はできていないとしながらも、「1人当たり・1日当たりの決済件数に好影響が出ているようだ」と明かしています。
興味深いことに、電子マネーの決済件数は夏場の暑い日に伸びるそうで、来年夏に利用件数の記録を更新すると期待しているそうです。
店頭のSuica決済端末がスマホに
JR東日本では現在、店舗が決済端末を導入しやすくするため、店舗側の決済端末としてソニーのスマホ「Xperia Z5 Compact」を利用する実証実験を進めているそうです。
また、海外で販売されているApple Pay対応iPhoneではSuicaが利用できないため、今後は端末の世界標準化が進むことへの期待も語られています。
このほか、IT Proの記事では、改札通過のスピードへのこだわりなどの内容が読めます。
Source:IT Pro
(hato)