利益を出すのは、あくまでも最高のコンピューターを作るためであって、金儲けが目的化してはいけない――故スティーブ・ジョブズ氏による20年近く前のスピーチが、今のAppleに当てはまるのではないかとして注目を集めています。
一時期Appleが失敗した理由とは
動画はシアトルで開催されたカンファレンス「CAUSE 98」で撮影されたものです。動画のなかでスティーブ・ジョブズ氏は、同氏が追放された後のAppleが失敗した理由として、素晴らしい製品を作ることではなく、利益を出すことを第一に考えたからだと熱弁を振るいます。
Appleに起きたことは、率直に言うと、何年にも渡って……かつて目標は世界で最高のコンピューターを作ることだった。これが1つ目の目標だった。で、2つ目は、実際にこれはHewlett-Packard由来なんだが(注:ジョブズ氏はインターンシップとして同社で働いていた)、「利益を出さなければいけない」というものだ。なぜなら、利益を出せなければ1つ目の目標は達成できないからね。
そう、だから私たちは利益を出すのが好きだ。でも利益を出す目的は、世界で最高のコンピューターを作ることなんだ。いつの間にかどこかで、この2つが逆転してしまった。「目標は儲けまくることで、そうだな、もし良さそうなコンピューターを作らなきゃいけないとなったら、まあ金があるからやるよ」って。
これはとても微妙なんだ。最初は全然分からない。でも、それがすべてだってことが判明する。ほんの僅かな逆転に気づくのには5年を要するが、5年も経つとその微妙な逆転がすべてになっている。だから我々は再び、あるべきところにあるべきものを配置してきたというわけさ。
今のAppleに向けての警鐘?
ところで、なぜ今頃この動画が話題になっているのか――それは、この20年近く前の動画でジョブズ氏が話している内容が、今のAppleにも当てはまるのではないか、という理由です。
例えば、ニュースサイトBGRは、Appleが新MacBook Pro(late 2016)のバッテリー駆動時間を延ばそうとしていたものの、年末商戦までに間に合わないことを恐れて計画を諦めたとする、Bloombergの報道を例として挙げ、目先の利益を優先しているととられても不思議ではないと示唆しています。
とは言え、今もAppleが業界をリードする最高の製品を世に送り出していることは、ティム・クック最高経営責任者(CEO)が言うまでもなく、疑いようがありません。
事実、Macシリーズこそ近年は画期的な動きを見せてはいませんが、2017年に登場するiPhone8(仮称)は、OLEDディスプレイ採用、ワイヤレス充電機能の搭載、物理ホームボタンの消失などによって、スマートフォン業界のゲームチェンジャーになるともみられています。
Source:BGR,Bloomberg
(kihachi)