Appleは2014年発売のiPhone6/6 Plusにおいて、4.7インチと5.5インチの2ディスプレイモデル戦略を採用しましたが、これまで単一ディスプレイモデル戦略を採っていた同社はどうしてこのタイミングで2ディスプレイモデル戦略を採用したのでしょうか。今回はその背景について考えてみたいと思います。
Appleには2つの主戦場がある
Appleが2機種の販売戦略を採り始めた理由として最も重要なのは、同社には2つの”主戦場”が存在する、ということです。これは米国と中国を指し、この事実はすでにAppleの戦略に影響を及ぼし始めています。
国民1人当たりの所得に差がある両国(中国:約30万7千円、米国:約350万円)ですが、これはインターネット接続・閲覧方法にも相関します。米国ではPCやタブレットによってWeb閲覧をするのに対し、中国では8割のユーザーがモバイル(携帯電話)によって閲覧をするとの調査結果もあるようです。
この事実により、米国においてはiPhoneの役割があくまで電話であるのに対し、中国では時にPCの役割も有します。結果、米国では4.7インチのiPhone6販売台数が5.5インチモデルの約3倍となっているのに対し、中国ではその傾向がやや弱まります。
中国でもiPhone5cと比較してiPhone5sの方が人気だった
ご存知の通り、Appleは2013年にiPhone5sとiPhone5cという形で2モデル戦略を採りました。ディスプレイサイズについては同じなので、iPhone6シリーズの戦略とは異なるものでしたが、Appleはどうしてこの戦略を捨て、iPhone6シリーズで新戦略を採用したのか、についても考えておかないといけない部分です。
同社はiPhone5cの位置づけについてはっきりとしたコメントをしたことはありませんが、その材質・価格から考えて、iPhone5sがハイエンドモデルであるとすれば、iPhone5cはミドルレンジモデルであるといえるでしょう。AppleとしてはiPhone5cについて中国などをターゲットとして販売したはずですが、残念ながらこの戦略はうまくいきませんでした。特に、iPhone5s、5cともに販売台数が落ち込めばまだよかった(?)ものの、中国においてもiPhone5sの方が人気を集めるという事態になりました。
これによりミドルレンジ戦略は失敗と判断したAppleは、2ディスプレイ戦略に舵を切ったと考えられます。結果、iPhone6/6 Plusは中国においても大成功を収めています。
iPhone6/6 Plusで2ディスプレイモデル戦略が採用された理由は今のところ公式に明らかになっていないものの、これまでAppleが実施してきた戦略の時系列、そして状況などを考えれば、主に「中国」が大きな理由を握っていると考えられます。iPhone6sではさらに4インチディスプレイモデルも追加されるという噂がありますが、どうなっていくのでしょうか。
参照元:InvestorPlace、http://iphone-mania.jp/news-63852/
執 筆:クロス