Appleは、iOS10.3から、iCloudアカウントに保存されたデータを解析し、Siriなどの人工知能の性能を高める方針のようです。ユーザーは情報の提供を希望しなければ、設定を変更することが可能です。
iCloudのデータをSiriの機能向上に活用
現在、開発者と登録ユーザー向けにベータ版が公開されているiOS10.3の中に、AppleがユーザーのiCloudアカウント上のデータを分析して、Siriなどの機能向上のため利用することについての記述が見つかった、とZDNetが報じています。
なお、データのAppleへの提供は、設定でオフにすることが可能です。
Appleはプライバシー尊重の姿勢は堅持か
写真、メール、連絡先、カレンダー、音楽など、ユーザーのあらゆるデータを取り扱うiCloudアカウントですが、データは「差分プライバシー(Differential privacy)」技術により、意図的に加えたノイズを用いてユーザー情報から切り離した上で利用されるだろう、とZDNetは報じています。
Appleはこれまで、ユーザーデータを広告に活用するGoogleなどのビジネスモデルに批判的な姿勢を貫いてきました。iCloudのデータ利用についても、ユーザーのプライバシーを尊重する方針のようです。
なお、米メディア9to5Macが読者を対象にしたアンケートで「Siriの改善のためにiCloudのデータを分析されることを認めるか?」との問いに、「位置情報付きで共有しても良い」が約53%で最多となっており、「認めない」の24%、「位置情報なしなら共有しても良い」の23%を大きく上回っています。
人工知能の研究開発で出遅れたAppleの新方針か
Appleは、人工知能分野の研究開発において、GoogleやAmazonなどのライバルに後れを取っていると言われます。
極度の秘密主義を批判されていたAppleは、人工知能分野の社内研究者による成果発表を容認したほか、GoogleやAmazon、IBMなどが設立した人工知能研究グループ「Partnership on AI」に加盟すると報じられています。