ブルームバーグによれば、アップルは3月31日より、中国でiPhoneの下取りキャンペーンを開始することを発表しました。アップルの下請けであるFoxconnがアップルストアを介して買い取り、Foxconnの運営するサイトで中古品として販売という、自国で完結させつつiPhoneのシェアを伸ばす下取りキャンペーンの手法が、ユニークだとして話題になっています。
スマホ界は中国を中心に回っている
もはや中国抜きでスマートフォン市場は成り立たないと言っても過言ではないくらい、アップルを含むテクノロジー企業にとって中国市場の存在は鍵となっています。
2014年の年末には、中国でもiPhone6/6Plusが登場したことによって、中国とアメリカでの売上台数が逆転し、iPhone売上の30%超を中国が占めるという結果になり、アップルが過去最高売上高を更新するのに大きく寄与しました。
とはいえ、平均月収が都心部でも10万足らずの中国では、iPhoneなどの高額スマートフォンを、先進国と同じ購入サイクルで買い換えるわけにも行きません。そこで、アップルは中国で下取りキャンペーンを開始することに決定しました。
日本の下取りキャンペーンとの違い
日本でも以前、ソフトバンクのiPhone下取りキャンペーンが話題となりましたが、あの下取りされたiPhoneは最終的にどこへ行くのかご存知でしょうか。買い取られたiPhoneは、新興国に転売されます。
つまりキャリアは、下取りを希望したユーザーの月額使用料から1年前後かけて毎月1,000円ずつ割引という形をとることで、同一キャリアにユーザーを押し留めておく一方で、下取りしたiPhoneは海外転売して利益を大きく得るという、非常にキャリアにとっておいしい構造が出来上がっていたわけですが、中国の下取りキャンペーンは違います。
ブルームバーグによると、中国の場合、下取りはアップルストアで行われるそうです。アップルストアの従業員が傷がないかをチェックした後、買い取られたiPhoneはFoxconnに低価格で転売され、それをFoxconnが換装した後、自身の運営するeFeihuやFLNetといった、アリババのようなeコマースサイトで販売する流れになるとのことです。
これによって、新機種へ買い替えるユーザーや、iPhoneが欲しかったけれども高くて手に出来なかったユーザーのみならず、iPhoneのシェア拡大を中国で狙うアップル、失敗したと言われているeFeihuを立て直したいうえにアップルへの影響力を強めたいFoxconn、すべてが利益を得ることとなります。
アップルに逆らえないFoxconn
ちなみに、アップルとFoxconnの蜜月ぶりは尋常ではなく、先日もApple Watchの生産を一手に引き受けたクアンタが、アップルの要求する生産台数の目標を、人員不足のために達成出来そうにないとみるや、EMS同士でライバルであるFoxconnの従業員を、アップルが容赦なくクアンタへ数千人規模で大量派遣させたことが話題となりました。
もちろん、クアンタには他社に知られたくないノウハウもあるだけに、ライバルのEMS企業から人員が送り込まれてくるというのは、業界でも前代未聞のことだったそうです。
また、以前はFoxconnがアップルの言い値で生産を引き受けるしか無いことも明るみに出るなど、完全にアップルの「子飼い」状態であることが、複数メディアから指摘されています。今回Foxconnとアップルがこのような協力を行うことも、こうした事情が背景にあると言えそうです。
参照元:Bloomberg、TechCrunch、日経ビジネスオンライン、http://iphone-mania.jp/news-66952/
執 筆:kihachi