国立がん研究センター中央病院は5月26日より、働きながらがん治療を受ける患者を対象に、「がんの治療が労働生産性にどのような影響を与えるのか」について、iPhoneアプリを使用した調査を開始しました。
毎年30万人の就労者が「がん」と診断される
日本では毎年100万人が新たに「がん」と診断されており、そのうちの3割にあたる約30万人が就労世代です。
がんと診断された就労者は、その後も治療を受けながら仕事を続ける人が増えていますが、抗がん剤等の影響によって「仕事に行きたくないと感じる」「職場で十分なパフォーマンスが発揮できない」「仕事に行きたいのに会社から休むよう指示される」など、仕事への影響も出ています。
今回の調査では、がん治療が労働生産性にどの程度の変化を与えるかを調べ、「抗がん剤による副作用の管理」や「事業所のがん患者に対する配慮のあり方」などの療養環境を改善するための指標作りが目的です。
がん治療を行いつつも仕事のパフォーマンスが落ちないような環境を構築することで、生活の質の向上にもつながると見られています。
Appleの医療系APIを使ったアプリ「がんコル」
今回の調査で使用されるアプリ「がんコル」は、Appleが提供する医学研究用フレームワーク「ResearchKit」を用いて開発されました。
がん患者はアプリを立ち上げ、生活の質の尺度を測る際に用いられる6つの質問に回答していくことで、毎日の体調を記録することができたり、アプリ参加者の同じような状態(同年代、同疾患)の人のパフォーマンスと比べたりすることができます。
また、アプリによって収集された個人データは匿名化され、国立研究開発法人国立がん研究センターの研究にも活用される予定です。
※アプリの金額については記事執筆時の価格を記載しております。インストール前に、「App Store」での表示価格をご確認いただきますようお願いします。
Source:日経デジタルヘルス,国立がん研究センター
Photo:flickr-MIKI Yoshihito
(kotobaya)