J.D. パワー アジア・ パシフィックは、2017年版の携帯電話サービス顧客満足度調査の結果を発表しました。ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリア利用者による満足度は、auが2年連続のトップに立ちました。また、大手キャリア利用者の3割は「格安SIM」への乗り換えを選択肢に入れたい、と回答しています。
総合満足度への影響力トップは「通信品質・エリア」
J.D. パワーの携帯電話サービス顧客満足度調査は、ドコモ、au、ソフトバンク(サブブランドを除く)を利用している全国の16〜64歳を対象に、2017年7月にインターネットで実施され、31,200人から有効回答を得ています。
顧客満足度は、6つのファクターを設定し、それぞれの項目に関する評価を基にして総合満足度を算出しています。
6つのファクターが総合満足度に与える影響の大きさは、「通信品質・エリア」が24%、「各種費用」が23%、「提供サービス」が21%、「電話機」14%、「アフターサポート」13%、「電話機購入経験」5%の順となりました。
総合満足度はauが2年連続トップ、低下する「費用」への満足度
大手3キャリアの総合満足度(1,000ポイント満点)は、昨年の調査に続き、auが550ポイントを獲得し2年連続でトップに立ちました。以下、2位はドコモ、3位がソフトバンクという順位は昨年と同じです。
KDDIは調査結果について「日ごろよりご愛顧いただいているお客さまへ深く感謝申し上げるとともに、今後もより多くのお客さまにご満足いただけるよう、さらなるお客さま体験価値向上に努めていきます」とのコメントを発表しています。
大手キャリア利用者の3割は格安SIMへの乗り換えを検討
J.D. パワーによると、大手各社の「各種費用」に対する評価は昨年から低下しており、その背景には「格安スマホ・格安SIM」の存在が考えられます。
今後、携帯電話の契約を見直し・変更する際に、「大手3キャリアのみで検討したい」というユーザーは半数程度に留まったのに対し、「格安スマホ・格安SIMを選択肢にしたい」という回答が約3割ありました。
しかし、大手キャリアから格安スマホ・格安SIMへの乗り換えをためらう理由は「切り替えの手続きが面倒」が最多で、「アフターサポートに不安」「データ通信の品質に不安」といった声が挙がっています。
傾向として、利用している大手キャリアの「アフターサポート」への満足度が高いユーザーは引き続き大手キャリアでの契約を希望し、反対に「アフターサポート」の満足度が低いユーザーは格安スマホ・格安SIMへの乗り換えを検討する割合が高い、とJ.D. パワーは分析しています。
格安SIMもサービスが重視される時代、今後は業界再編も?
通信設備を大手から借りることでコストを下げ、低料金で大手キャリアとの差別化を図ってきた格安スマホ・格安SIM業界ですが、ユーザーの裾野が広がるにつれて、サービスや回線の品質も注目されるようになっています。
先日、 MMD研究所が発表した格安SIMの満足度調査では、格安SIMユーザーの満足度は約75%と高く、「データ通信速度」「データ通信品質」で高評価だったUQ mobileが総合満足度トップに立っています。
最近は、楽天がFREETEの格安SIM事業買収を発表するなど、今後の業界再編を予感させる動きも出ています。