iPhone8やiPhone Xに搭載されているA11 Bionicプロセッサを独占受注している台湾のTSMCが、既に2018年のiPhone用チップの開発に取り組んでいる、とNikkei Asian Reviewが報じています。
主要チップの自前開発を推進するApple
Appleは最近、外部サプライヤーへの依存度を下げ、主要なチップを自社開発する傾向を強めています。
中でも、iPhone用GPUの技術を提供していたImagination Technologiesは、2017年4月にAppleが同社との取引終了を通知した後に株価が暴落、9月には中国政府系ファンドに買収されてしまいました。
Appleは、iPhone Xの製品情報として、搭載されているGPUはAppleが開発したものであることをアピールしています。
このほか、モデムチップの主要サプライヤーであるQualcommとはロイヤルティーの支払いを巡って争うばかりでなく、技術部門の責任者を引き抜いています。
このほか、Dialog Semiconductorが供給している電源管理チップについてもAppleがGPUに続き独自開発するのではと予測されています。
TSMCはサプライヤー切りの例外?A12の開発を開始
製品の基幹技術であるプロセッサ類の自前開発のため、主要なサプライヤーにも厳しい態度を示すAppleですが、唯一の例外と言えるのが、台湾のTSMCです。
世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCは、2017年のiPhone7シリーズのA10 Fusionに続き、2018年のiPhone8とiPhone Xに搭載されるA11 Bionicプロセッサを独占供給しています。
そしてTSMCは、画面の大型化が噂されている2018年のiPhoneに搭載される、おそらくは「A12」と呼ばれる次世代プロセッサの開発を始めている、と報じられています。
TSMCの新設工場、2022年には3nmプロセスで製造開始か
TSMCは現地時間9月29日、台湾南部の高雄に次世代半導体を製造する工場を建設すると発表しました。
約1兆8,000億円を投じて建設される工場は、最先端の3nmプロセスによるチップ製造能力を誇り、2022年に本格製造を開始する見込みです。この動きは、同社幹部が昨年末に明かしていた計画が順調に進んでいることを示しています。
iPhone7に搭載されているA10 Fusionプロセッサが16nmプロセスで製造されているのに対し、iPad ProのA10XやiPhone8とiPhone XのA11 Bionicプロセッサは10nmプロセスで製造されています。
Source:Nikkei Asian Review
Photo:Apple
(hato)