2011年のiPhone4sに初めて搭載されて以来、SiriはiPhoneとともに進化を遂げてきました。最近はサンタクロースの所在地や生誕の秘密も教えてくれることが分かっています。しかし、実際のところ、音声アシスタントは一体どの程度賢いのでしょうか。中国の研究チームが、知能を測る基準の一つであるIQテストで、AppleのSiriを始めとする複数のAIを測定しました。
最下位はSiri
研究の対象となったのは、Google、Bing(Microsoft)、Baidu、Siri(Apple)など、計10種類のAIです。「取得、習得、創造、フィードバック(acquire, master, create and feedback knowledge)」に基づくテストを行った結果、最もIQが高かったのはGoogleのAIで47.28となり、以下Bingの31.98、Baiduの32.92と続き、最下位はSiriの23.94という順番になりました。
公開された論文「Intelligence Quotient and Intelligence Grade of Artificial Intelligence(AIの知能指数と知能レベル)」では、IQは人間の6歳児で55.5、12歳で84.5、18歳で97.0になるとされています。したがって、単純比較した場合、最も順位の高かったGoogleですら6歳児以下の知能となります。
また、世界トップの囲碁棋士を破ったAlphaGoが話題となりましたが、研究チームは「オンライン挑戦をGoogleは許可していない」とは述べつつも、小学3年生程度のIQではないか、と述べています。
短期間で進化はしているが
もちろん、人間の知能の一側面を推し量るIQテストで、音声アシスタントの「知能」を簡単に結論付けることはできませんし、AlphaGoとSiriを同一に語ることも無理があるでしょう。事実、SiriがAIと呼べるかどうかについては議論の余地もあります。
ただ、台湾を拠点とするAIスタートアップ企業Appierの研究者は「AIは桁違いの学習能力を有しているが、未だに6歳児の知能にも達していない」と、現時点では学習に人間が不可欠であることを指摘します。ひとまず今回のテストは、AIの脅威を唱える科学者のスティーヴン・ホーキング氏や、Tesla創業者のイーロン・マスク氏が胸を撫で下ろす結果になったかも知れません。
もっとも、今回の測定が行われる2年前(2014年)は、トップのGoogleですら26.5だったことを思うと、これら「AI」と呼ばれるプログラムが、驚くべきほど短期間で進化していることは疑いようもないでしょう。
Source:ArXiv,HOTHARDWARE,CNET
(kihachi)