Appleは新しい本社での消費電力を全て再生可能エネルギーでまかない、また製品製造には100%再資源化された原材料を利用するという目標を掲げるなど、環境保護に対して積極的な企業として有名です。そのAppleの環境保護の責任者であるリサ・ジャクソン副社長がオーストラリアメディアのインタビューで同社の環境への取り組みを語っています。
Appleは最も先進的な企業
現在、Appleは環境保護のために同社の製品を製造する際、全ての原材料を再資源化されたものに置き換える目標を掲げています。もしこの目標が実現すれば、Apple製品を製造するのに採掘という工程がなくなります。この取り組みはiPhoneを効率的に分解するロボットの導入や、そのロボットが分解したiPhoneのアルミニウムを利用してMac miniを製造することにも反映されています。
ただ再資源化された原材料を100%利用すること、製品からの廃棄物を0にすることは「夢物語」とも言われています。部材によっては現時点で再資源化に必要な技術がなく、10年、20年後に実現するかしないかという水準です。iPhoneなどの分解レポートで有名なiFixitのCEOカイル・ウィーンズ氏はiPhoneが完全に再資源化できるようになるには数十年の年月が必要との見解を示しています。
この理想と現実の差についてリサ・ジャクソン副社長は「再資源化された原材料の100%利用に向かって邁進している。Appleはその意義を理解ししている唯一の企業」と語っています。同氏は目標は大きくて遠いものの、その目標を決して諦めていないことを明確にしています。
修理する権利との対立
Appleが環境保護を重視する姿勢を強めれば強めるほど、iPhoneやiPadの修理の難しさとの矛盾が指摘されます。修理して1つの製品を長く使えば、それだけ環境への負荷が減るという主張はiFixiなどによって長らく唱えられています。アメリカでは全ての製品の修理を消費者が自由にできる法律の審議も準備されています。
この修理する権利についてリサ・ジャクソン氏は「Appleは独自の修理プログラムを提供し、修理業者を認定しています。この制度が複雑になる製品の修理において顧客にとって最高なものである」とした上で、「認定されていない業者による不正な修理は本当に顧客のためになるのか」と疑問を呈しています。
Appleの修理に関する主張に対しては「利益率の高い修理サービスの支配権を失いたくないだけ」とも指摘されます。Appleの主張と消費者自身で製品を修理して長く使いたいという願いには大きな隔たりがあるのが現状です。Appleが環境保護に対して積極的に取り組んでいる企業であることは間違いありません。しかし現状と理想には大きな隔たりがあり、その隔たりをいかにAppleが乗り越えていくのか、ここにも世界中が注目しています。
Source:news.co.au
Photo:Apple、iFixit
(KAZ)