Appleが、カナダのAR(拡張現実)技術開発企業、Vrvanaを3,000万ドル(約34億円)で買収した、と米メディアTechCrunchが報じています。iOS11でARアプリ開発プラットフォームのARKitの提供を開始したAppleが、自社製ハードウェア開発に乗り出した可能性があります。
未発売のARヘッドセットは各メディアが絶賛
Vrvanaは、カナダのモントリオールに拠点を置く企業で、2005年に創業されています。同社はARヘッドセットのTotemを発表し、テクノロジーメディアから絶賛のレビューを受けていますが、製品は発売されていません。
VrvanaのWebサイトは現在も公開されていますが、SNSアカウントは夏以降更新が止まっており、従業員は米カリフォルニア州のAppleに移っている、とTechCrunchは報じています。
外界の映像と鮮明なアニメーションをリアルタイム合成
Totemの外観はMicrosoftのHoloLensなどのVR(仮想現実)ヘッドセットと同じですが、ユーザーに見える世界が異なります。VRではユーザーが合成映像の中に入り込むのに対し、Totemは、本体外側に設置されたカメラで捉えたリアルタイム映像に、鮮明なアニメーションを合成して映し出せる点が特徴です。
一方で、本体の大きさに加えて、外界映像をヘッドセット内側の有機EL(OLED)モニターに映し出すまでにタイムラグが生じるのが避けられない、という弱点もあります。
AR技術に力を注ぐApple
Appleは、iOS11発表と同時に、ARアプリ開発プラットフォームのARKitを提供しており、すでに数多くのARアプリが発表されています。
Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)も、AR技術への強い関心を以前から語っており、同社がAR関係分野に多くの投資をしていることは知られていました。
最近は、Appleと主要サプライヤーのQuantaが、ARメガネを共同開発しており、2019年までに発売される、とも報じられています。
Source:TechCrunch
(hato)