インターネット通販大手の楽天が携帯電話事業への参入を目指し、総務省が新たに割り当てる電波(周波数帯)の取得申請を行う方針であると日経新聞が報じています。楽天の申請が認可されれば大手3社による寡占状態となっている携帯電話市場が大きく変わっていく可能性もあります。
6,000億円を投資
楽天は2017年度末までに新たに割り当てが決定する1.7GHz帯と3.5GHz帯の周波数獲得を目指しています。この周波数帯の獲得を目指し、ドコモも11日に追加割り当ての申請を済ませており、また他社もひっ迫する電波状況の改善のために追加割り当てを申請すると思われます。総務省は楽天を含めて4社の申請内容を検討し、周波数を割り当てる事業者を決定します。
総務省としては寡占状態を解消するためにも、新規参入を歓迎していると伝えられており、楽天は審査でも有利な立場にあると考えられます。ただ楽天は電波を取得できれば、基地局や回線設備に6,000億円の投資を行う予定だとされますが、これはドコモが昨年度に行った設備投資額とほぼ同程度です。そのため楽天が6,000億円でどこまで快適な通信インフラを整備できるかどうかは慎重に検討される点になるでしょう。
楽天からiPhoneは出るのか?
仮に楽天が1.7GHz帯(Band3)、3.5GHz帯(Band42)の周波数を割り当てられたとすれば、双方ともiPhoneで利用できる周波数帯なので楽天がiPhoneを取り扱う可能性は大いにあります(すでに楽天モバイルではiPhone SEが販売されています)。これまでiPhoneの月額料金、本体価格、キャンペーン、下取り額などはほぼ3社で横並び状態でした。その均衡が楽天の参入で崩れる可能性が出てきました。
なお3.5GHz帯(Band42)はiPhone 8/8 Plus、iPhone Xから対応の始まった周波数帯です。そのため古いSIMフリーのiPhoneに楽天のSIMを刺して使うと、十分な通信品質が得られない可能性はあります。ただ2017年度末に周波数の割り当てが決定しても、そこから基地局などの整備や既存利用者との調整が必要でありサービス開始は2019年度中になります。その頃に使われているiPhoneの多くはBand42に対応しているでしょう。
Source:日本経済新聞
Photo:総務省(PDF)、楽天モバイル
(KAZ)