米Intelは、Teslaで自動運転用ハードウェア開発の責任者だったジム・ケラー氏の入社を発表しました。ケラー氏は以前、AppleでiPhone4に搭載されたA4プロセッサの開発を率いた、伝説的なチップ設計者とも呼ばれています。
Teslaで自動運転用ハードウェア開発からIntelへ
Intelは現地時間4月26日にジム・ケラー氏を半導体製品開発担当の上級副社長として迎えることを発表しました。
ケラー氏は、2017年からTeslaで自動運転技術Autopilotのハードウェア開発を率いた日々を以下のように振り返っています。
Teslaでは素晴らしい経験をして、多くを学びました。将来、Teslaから素晴らしいテクノロジーが送り出されるのを楽しみにしています。私の生涯にわたる情熱は、世界最高の半導体製品を開発することです。
Teslaの広報担当者は、自動車情報メディアelectrekに対してケラー氏の功績を称えるコメントを発表しています。
ジム・ケラー氏はTeslaで低電力ハードウェア、Autopilotソフトウェアやインフォテインメントの開発を率いていました。ジムの情熱の中心はマイクロプロセッサの開発です。彼は、それに専念できる場所にもう一度、戻って行きます。私たちは彼のTeslaへの貢献に感謝しており、彼の活躍を祈っています。
iPhone4のA4、iPhone4sのA5プロセッサの開発責任者
ケラー氏は、DECとAMDで半導体設計者としてのキャリアを積み重ね、P.A. Semiで半導体開発担当の副社長をつとめました。
2008年にAppleによるP.A. Semi買収に伴いAppleに移籍し、iPhone4に搭載されたA4プロセッサやiPhone4sに搭載されたA5プロセッサの開発を率いました。
2012年、AMDに戻りZenマイクロアーキテクチャの開発を率いています。
ケラー氏が抜けたポジションは、同氏のApple時代の同僚で、A5〜A9プロセッサの開発責任者をつとめたピート・バノン氏が引き継ぎます。
Appleも力を入れる自動運転技術
Autopilotを使った走行中だったModel Xの事故でAppleのエンジニアが死亡したニュースも記憶に新しい中、現代最高のチップ開発者と言われるケラー氏の離脱はTeslaにとって大きな痛手になるだろう、とelectrekはコメントしています。
ケラー氏が移籍するIntelは、2017年3月に自動運転用の画像処理技術企業Mobileye(モービルアイ)を約1.7兆円で買収しています。
自動運転分野では、Appleも力を入れており、今年に入って公道での走行テスト用車両を増やして実験を重ねています。