エリクソンは5月8日、アップルに対する特許訴訟対象国を、アメリカのみならず、ドイツ、イギリス、オランダにまで広げることを明らかにしました。2015年1月にアップルが、エリクソンと結んでいた特許使用に関する契約を更新することなく、同社が特許を有するとされる技術を使用し続けていたため、これまでも両社の間で大規模な裁判が行われていました。
アップルが契約更新せず特許を使用
エリクソンが有する特許の使用契約をアップルが更新することなく、同特許にあたるとされる技術を使い続けていることに対し、2月よりアメリカで訴訟を起こしているエリクソンですが、アップルとの合意に達することが出来なかったため、ドイツ、イギリス、オランダでも訴訟に踏み切ったことを明らかにしました。
争点となっているのは、2Gや4Gといった回線から、CPU周りの構造、ユーザーインターフェイス、位置情報サービス、さらにはiOSのシステムにいたるまで、アップルがiPhoneなどに使用しているあらゆる技術が、エリクソンが有している約3万7,000件の特許のうち100件前後を侵害するものであるのかどうか、という点です。
敗訴すればエリクソンは特許を全て失う可能性も
アップルは、このように特許技術を独占しているエリクソンが、市場での適正な競争を促すために知的財産機関が認定する、「公正、合理的、かつ非差別的)」な条件(通称:FRAND条件)に違反しているとしています。
もし裁判で、エリクソンがこの条件に違反しているというアップルの訴えが認められた場合、エリクソンは、市場を独占しすぎないよう、「公平な基準に基づいて知的財産を提供する義務」があるとみなされ、最悪の場合は広範な特許を大幅に失ってしまう可能性があります。
一方でエリクソンは、FRAND条件には当てはまらないとし、契約の合意に達することが出来ないとみるや、アップルが開き直って特許を使用しだしたと述べています。
結局は両社のチキンレースか
とはいえ、2月にもアップルは、「私たちは、自社の製品におけるテクノロジーに関わる、標準的で不可欠な特許には、喜んで正当な対価を払うつもりだ」と述べていることからも、特許使用料の合意にさえ達することが出来るようであれば、血で血を洗うような裁判を続けるつもりはないようです。
また、エリクソンとしても、莫大な使用料が入ってくる特許を失ってしまうことは何としてでも避けたいだけに、今回の訴訟もまた、両社によるチキンレースの一環とみるのが適切だと言えそうです。
参照元:MacRumors、CNET、http://iphone-mania.jp/news-72079/
執 筆:kihachi