KDDI研究所は25日、60GHz帯とLTEが協調動作してデータを転送する新しい通信方式を開発したと発表しました。
実機を用いた検証試験の結果、ダウンロード時間をLTEのみを使った場合と比較して5分の1以下にまで削減し、LTE通信量を最大約90%削減することに成功したとしています。
本来は移動通信サービスでの利用が難しい周波数帯
今回利用されている60GHz帯の電波は、1Gbps以上の広帯域伝送路を提供できる一方で、遠くまで電波が届きにくいことから、携帯電話などの移動通信サービスでの利用が難しいとされてきた周波数帯です。また、現在、大手キャリア各社が提供している4G LTEの150Mbpsレベルの速度から「~Gbps」となるため、固定網の回線速度が問題となることも想定されていました。
しかし、KDDI研究所は、60GHz帯通信とLTEを協調させることにより、60GHz帯の高速回線を十分に活用できる通信手法を考案し、実際にAndroid搭載端末上で動作させることに成功したとしています。
どうしてこんなことができたのでしょうか?KDDI研究所では、技術的なポイントとして以下の2点を挙げています。
(1)ユーザが今後必要とするコンテンツを”先回り”させるシステムの開発
(2)新しいネットワークアーキテクチャ技術として研究が進められているCCN (Content Centric Networking) 技術を使用
特に、(1)は興味深いものとなっています。60GHz帯のエリアに入ってから通信を確立するための制御信号のやり取りを行っていたのでは、エリアに入ってすぐにデータ転送ができないという課題があったものの、LTEエリアであらかじめユーザが到達するであろう60GHz帯エリアを予測し、必要なコンテンツを先回りダウンロードさせることにより、ユーザが60GHz帯エリアに入ってすぐにダウンロードが開始できるような技術仕様を組むことによってこれを解決したとのことです。
実機を用いた検証試験の結果では、ダウンロード時間をLTEのみを使った場合と比較して5分の1以下にまで削減したほか、LTEのトラフィックを最大約90%、60GHz帯に分散可能であることを確認したとしています。
この技術が、いつから実用化されるのかまでは明言されていないものの、ユーザーとしては非常に気になる技術ですね。
Source:KDDI研究所、http://iphone-mania.jp/news-73156/
Photo:Radio Science Conference
(クロス)