ソフトバンクが去年の9月頃から運用を開始したシリコンバレーにある拠点を縮小するとロイター通信は報じています。拠点の設置はスプリントの買収完了と同時に発表され、米国進出の橋頭堡とみられていたため、規模縮小は様々な憶測を招くかもしれません。
2棟、1,000人体制の拠点のはずが
ソフトバンクの米国での拠点はシリコンバレー(といってもその中心からは少し離れた場所)にあり、大きな建物2棟で構成されています。Googleの本社のあるマウンテンビューやAppleの本社があるクパチーノとも遠くなく、技術開発拠点として最適の場所と言われていました。
ストリートビューでも確認できますが、片方の建物には「SoftBank」のロゴ、もう片方には「Sprint」のロゴが掲げられています。まさにソフトバンクグループの米国での拠点となるはずの場所だったことがわかります。
しかしこの建物の半分以上が使われていないそうです。当初は1,000人規模の開発拠点とする予定でしたが、T-Mobile USの買収失敗が誤算だったようで、ソフトバンクから派遣されていた人員は一部が帰国、一部はカンザス州のスプリントの本社へと移ると報じられています。
スプリント事業の修正の一環か?
ソフトバンクがスプリントを買収し、この拠点を設置した当初、ソフトバンクにとって米国事業は夢と希望の詰まったものでした。その最前線としてシリコンバレーに拠点が設置され、通信技術やソフトウェア、周辺機器の開発、検証を実施するとしていました。
しかしその後、T-Mobile USの買収失敗、CEOの交代、Sprintの不振による1,000億円の下方修正という厳しい現実にさらされます。今年初め頃はT-Mobile US買収を目指して積極的に活動していた孫社長も、直近の決算発表ではインド市場への投資をアピールするようになっています。
こうした状況を見る限り、苦戦が続くスプリント事業は新CEOに任せて「アメリカの通信を変える」という孫社長の目標は一旦保留され、米国での事業戦略は修正されているように見えます。
参照元: ロイター、Google Map
執 筆: KAZ