Appleが2014年に発売した新機種iPhone6/6 Plus。ガジェット好きの方なら、そのスペックを見て、A7プロセッサに引き続き、A8プロセッサもデュアルコア(2コア)であることに驚いたのではないでしょうか。
比較としては、iPhone6/6 Plusのライバル機種である、Nexus6はクアッドコア(4コア)、Ascend Mate7に至っては、オクタコア(4 + 4コア)が採用されているというのが現状ですが、一部ではiPhone6sに搭載予定であるA9チップにおいても、引き続きデュアルコアが採用されるかもしれない、とされています。今回はAppleがどうしてデュアルコアにこだわってきたのか、を紹介します。
Appleはデュアルコアでしっかりとパフォーマンスを向上させた
iPhone6/6 Plusの発売時、AppleのPhil Schiller上級副社長は、多くの時間をA8プロセッサーの説明に費やしています。その中で特に強調されたのが、前世代のプロセッサであるA7からの進化です。
事実として、本件については調査会社であるArs Technicaが2014年9月に実施した調査結果で証明されています。同社の報告によれば、A7プロセッサにおける実験では、起動直後には1.3GHzのパフォーマンスを実現していたにも関わらず、CPUに負荷をかけた10分後には967MHzまでパフォーマンスが低下してしまった、としています。一方で、A8プロセッサで同様の実験をしたところ、起動直後の1.4GHzから、1.167GHz~1.2GHzまでしかパフォーマンスの低下がみられなかったとしています。
結果、A7・A8プロセッサともにデュアルコアではあるものの、Appleは同コア数の中でパフォーマンスの向上を実現したこととなります。
クロック数を向上させればさらに50%のパフォーマンスアップが可能
Appleはコア数の上昇を選択せず、クロック数の向上を選択したわけですが、The Motley Foolによれば、Appleはこの方法を継続することで、さらに50%を超えるパフォーマンスアップが可能のようです。
また、Appleが仮にAppleが3コアや4コアのプロセッサを採用すれば、さらに優れたパフォーマンスの向上が実現可能かもしれませんが、その性能に対応したアプリが現状存在しないため、ユーザーがパフォーマンスアップを体感するのは困難です。この場合、使用しないコアが余分となり、数値上のみの実質最大パフォーマンスのみが上がることとなります。車の燃費性能に似ていますね。
とはいうものの、AppleがiPad Air2に搭載したA8Xチップはトリプルコア(3コア)になっているのもまた事実。これまでのAppleの考えがiPadには通じなくなってきたからなのか、今後はトリプルコアを標準にしていくのか、そのあたりは今のところ不明ですが、スマートフォン業界がコア数の増大を進める中で、Appleが頑なにデュアルコアを貫いた理由には、他社の考え方との相違があったようです。
参照元:The Motley Fool
執 筆:クロス