Appleはここ数年、新モデルを出すたびに前作よりも薄型化したことを主張してきました。それは、昨年発売され、記録的なヒットを飛ばし続けるiPhone6/6 Plusもそうですし、iPad Air2や、噂されている12インチのMacBook Airなど、その戦略はほとんどすべてのデバイスに共通しています。
Appleの製品に限らず、現在流通している商品の多くは十分に薄く、軽いといった現状があるにも関わらず、Appleはどうしてこうもデバイスの薄型化にこだわるのでしょうか。
スマートフォン市場の性能は均質化
PCやタブレットなど、さまざまなデバイスが存在しますが、特にスマートフォンに限った話をすると、最近はタッチパネル対応で、数個の物理的なボタン(ボリュームコントロールボタンや、スリープボタン)を搭載したモデルが主流となってきており、多くの機種で性能も均質なものとなってきています。
特に最近では中国メーカーXiaomiが、価格に見合わない高性能なスペックを武器に業績を拡大しています。
ライバルとの差別化に残された手は薄型化のみ
AppleはiPhoneの発売以降、市場の中で最もハイエンドな価格で成功を収め続けていますが、その戦略を維持していく上で重要な役割を占めているのが薄型化です。
高級感を演出する際のポイントはカラー展開を控えめにするなどの方法もありますが、最もライバルが真似をしにくい方法の1つとしてAppleが確立してきた差別化戦略が、本体の薄型化だったわけです。
本体の薄型化には限界や問題も
ただし、本体の薄型化には当然のことながら問題や限界もあります。薄型化はスマートなデザインを生み出すにおいて有用ではあるものの、物理的な内部スペースの縮小も招きます。これにより、バッテリー容量が小さくなり、ユーザーとしてはスマートなデザインに見合わないような予備バッテリーを持ち運ぶ必要すら生じ、不便となっていきます。
Appleとしては今後も限界まで薄型化を促進していくでしょうが、一般的にバッテリーの進化はその他の技術の進化に比べて遅く、いずれ限界がくることは明らかと言えます。
Apple Watchが予備バッテリーとしての立ち位置に?
そこでAppleはApple Watchの発表に踏み切りました。同デバイスは、独自で通信などができるタイプではなく、あくまでもiPhoneとセットで使用することを念頭においたデバイスとなっています。しかし、Apple Watchはカバンなどから取り出すことなくメッセージの送受信などが可能で、購入したユーザーはApple Watchの使用が増えれば、反比例的にiPhoneを使用する時間が少なくなっていくことでしょう。
これにより、Appleは薄型化に伴うバッテリー問題から解き放たれ、iPhoneのさらなる薄型化に舵を切ることができる様になります。もちろんApple Watchのバッテリー性能について言及したティム・クックCEOの発言からも、当初からこの戦略を採用することはできないかもしれませんが、長期的な視点で見ると、Apple WatchがiPhoneの予備バッテリーとしての役割を果たしていくことは間違いなさそうです。
参照元:TechCrunch、http://iphone-mania.jp/news-59641/
執 筆:クロス