iPhone7の発表が間近に迫る一方で、スマートフォン市場は「飽和状態」という曲がり角に直面しています。ハイエンドモデルのスマートフォンがブランド力だけでは売れなくなりつつある一方で、コストパフォーマンスに優れた端末を市場に次々と送り込む中国ベンダーが飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けるという、新たな潮流のなか、Appleもこれまでとは異なる戦略を求められています。
サプライヤーに厳しいコストカット要求
米メディアWall Street Journalによると、このところAppleはiPhoneの売り上げペース鈍化を食い止めるべく、2つの新たな戦略を打ち出すに至りました。それは、コストカットと価格改定です。
ここ数ヶ月間、Appleが複数のサプライヤー同士を競合させ、厳しいコストカットを要求していることが報じられています。特にiPhone7は売り上げの見通しが従来のiPhoneと比べて悪いということもあり、パーツの発注量を昨年から約30%減らしたのにもかかわらず、納入単価を約20%も下げるよう要求していたことも分かっています。
もちろん、こうした同社の戦略はサプライヤーにとっては大きな痛手で、彼らは売り上げも高望みできなかったようだ、とWall Street Journalは評しています。
アメリカよりも安く中国でiPhone6sを買える?
そして、Appleにとって無視できないのが中国の存在です。アメリカに次ぐ規模を誇る中国のスマートフォン市場の動向は、同社の未来がかかっているとさえ言えます。
ところが、2016年第2四半期の中国国内における、iPhoneの出荷台数は前年同期比で約31.7%も減少しており、これまでのようにiPhoneが売れなくなっていることが判明しています。中国のスマートフォン市場全体は好調ムードにあるだけに、ひとえにAppleの「神通力」が失われつつあると指摘できるかもしれません。
そこで、Appleが打ち出した新たな策が、思い切ってiPhoneの価格を下げるというものです。現在、最もiPhoneの価格が安いアメリカでは649ドル(約64,900円)で、16GBのiPhone6sが売られている一方、中国大手キャリアChina Telecomでは4,288元(約64,200円)で購入可能です。
本来の値段を示した上図から分かるように、中国は増値税という独自の税金システムを導入しているため、本来であれば世界を見渡してもiPhone価格は高額な部類に入るのですが、それを含めてもなお、アメリカよりも価格を抑えてきたことについて、中国のほうが本国よりも価格が安くなるというケースは稀とWall Street Journalは指摘しています。
なお、本件に関してAppleは沈黙を保ったままです。
Source:WSJ, http://iphone-mania.jp/news-132305/
(kihachi)