iPhone誕生から10周年を迎え、Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるフィリップ・シラー氏が、ニュースサイトBackchannelのインタビューに答え、iPhoneの誕生秘話や今後のスマートホーム・デバイスの方向性について語っています。
当時はこれほど売れるとは思ってもみなかった
10年目を迎えたiPhoneについて、Appleの公式リリースでは「今ではすべてのスマートフォンの究極の判断基準になっている」と述べていたフィリップ・シラー氏ですが、本インタビューではより踏み込んだ裏話を披露しています。
シラー氏は、iPhoneのリリース当初、成功するだろうとは考えていたものの、まさかここまで大きなものになるとは考えていなかったようです。iPhoneは累計販売台数が昨年、10億台を突破し、同一ブランドの携帯端末としては、未曾有の成功を収めています。
また、同氏はリリースにあたって、Apple内部でiPhoneをサードパーティに解放するべきかどうかの議論が行われたことも明かしています。
内部の技術者たちの間で、Macintoshのようにオープンシステムにするか、(当時の)iPodのようにクローズドなものにするかで話し合いが持たれましたが、オープンシステムにした場合、リリースが予定に間に合わなくなることから、当時の最高経営責任者(CEO)だったスティーブ・ジョブス氏が「とりあえず今はクローズドのままで行こう」として議論を打ち切ったそうです。
しかし、結局iPhoneは、2008年のiPhone 3Gより、App Storeを伴ってリリースされることになります。シラー氏は、Appleが開発者たちに向かって門戸を解放したこの時こそが、iPhoneにおける偉大な瞬間だったと述懐しています。
Amazon Echoのようなデバイスには否定的
さらにフィリップ・シラー氏は、Siriの方向性にも言及しています。彼によれば、最高のインテリジェント・アシスタントとは、iPhoneのように常にユーザーに寄り添うべき存在であるべきで、決して「キッチンや壁などに置かれるような存在」ではないそうです。ここで念頭に置かれているのは、Google HomeやAmazon Echoであることは明白でしょう。
その上で同氏は、Amazon EchoのようなAIアシスタント・デバイスに対し、「人々はディスプレイの価値や重要性を忘れている」と指摘、「10年間にわたって、iPhoneにおける偉大な発明のいくつかはディスプレイ上にあり続けてきた」とし、実体を持たない声のみでは写真をユーザーに表示することもできない、との持論を展開しています。
一部には、AppleもSiriを搭載したスマートホーム機器を開発しているとの報道がありますが、シラー氏の話をもとにすると、仮にそれが事実である場合でも、Google HomeやAmazon Echoとは異なり、iPhoneやiPadを組み合わせるなど、何らかの形でハンディなディスプレイを伴って登場することになりそうです。
Source:9to5Mac,BACKCHANNEL
(kihachi)