10年前の1月9日、スティーブ・ジョブズ氏が初代iPhoneを発表したプレゼンテーションはあまりに有名です。しかし、歴史的な発表の舞台裏には、技術者たちの綱渡りがありました。
今、明かされる初代iPhone発表プレゼンの舞台裏
10年前、スティーブ・ジョブズ氏が「タッチコントロール付きのワイドスクリーンのiPod、革新的な携帯電話、画期的なインターネット・コミュニケーション・デバイス」として初代iPhoneを発表したプレゼンテーションは、非常に有名です。
多くの方が目にしたことのあるプレゼンテーションの裏話を、ポッドキャスト番組のInternet History Podcastが紹介しています。華やかなプレゼンテーションの裏話エピソードのいくつかをご紹介します。
丸6日間にわたったジョブズ氏のリハーサル
ジョブズ氏は、初代iPhone発表プレゼンテーションに向けて、丸6日間にわたりリハーサルを繰り返していました。
一方、試作品に過ぎないiPhoneは、最終製品レベルには程遠い完成度でした。本番目前になっても動作が安定せず、インターネット接続が切れ、電話を掛けることができず、突然シャットダウンしてしまうといった有様でした。
発見された「黄金の道」
iPhoneの魅力をくまなく紹介するべく構成されたジョブズ氏のプレゼンには、特定の順番で操作すると問題が起こらないという「黄金の道」が発見されました。メール送信、ネットサーフィンの順ならうまく動作しますが、順序を入れ替えるとiPhoneはクラッシュする傾向がありました。
ジョブズ氏専用Wi-Fi、移動基地局も設置、さらに・・・
Wi-Fi接続を安定させるため、会場を埋め尽くした聴衆が使うのとは違う、ジョブズ氏専用のWi-Fi電波を飛ばしました。さらに、ジョブズ氏が電話をかけるデモがうまくいくよう、AT&Tは移動基地局を設置しました。
それでも心配な技術者たちは、デモ用のiPhoneには、実際の電波状態にかかわらず常にアンテナマーク表示を最大の5本で固定しました。
意図的に3G回線に対応しなかった?
初代iPhoneは、3G回線に対応していませんでしたが、これは単に3G用チップの製造が間に合わなかっただけではなく、iPhoneを多くの人が使い始めれば、通信回線の容量が追い付かなくなると考え、2G回線専用を意図的に選んだそうです。
それでも、AT&Tの通信回線はiPhoneのヒットで増えた通信量を処理しきれず、初代iPhoneを買ったユーザーたちはしばらくの間、遅い通信速度に耐える羽目となりました。
技術者の気持ちでもう一度、伝説のプレゼンを観てみよう
いかがでしょうか?伝説に残るプレゼンの裏には、考えるだけで胃が痛くなりそうな技術者たちの努力があったことが感じられるのではないでしょうか。
プレゼンテーションの様子は、以下の動画で見ることができます。ジョブズ氏がiPhoneを操作するたびに、舞台裏の技術者たちは心臓が止まりそうだったのだろうな、などと想像しながら観ると、また違った面白さがあるのではないでしょうか。
Source:Internet History Podcast via 9to5Mac
(hato)