先日発表されたApple Watchですが、18金で出来た10,000ドルのApple WatchのEditionを筆頭に、ターゲットが明らかに中国の富裕層となっていることは間違いありません。しかし、問題は中国で受け入れられるのかどうか、ということです。ニュースサイトのTech Crunchは、通常のApple Watchが成功するかどうかは成功を続けてきたアップルのことを考えればもはや問題とはならず、真に重要なのは、ファッション業界にまで手を伸ばしてきたEditionが、国内外で高級ブランド購入者の嗜好を満たすものとなるかどうかだ、と述べます。
手に入れるために違法ドラッグを販売
先日、中国で違法ドラッグを販売し逮捕された若者の供述に、世界中が目を丸くしました。この若者によれば、違法ドラッグを売り捌いていたのは、Apple Watchが欲しかったからだというのです。
アメリカではApple Watchのスチールバージョンは549ドル(約65,880円)ですが、中国では贅沢税が科せられ、約668ドル(約80,160円)となってしまうため、都心部ですら大卒の月収が約10万円と言われている中国の若者にとって、Apple Watchは容易に入手出来る製品ではありません。
しかしこのニュースは、なぜApple Watchを始めとするアップル製品が、中国人をそこまで駆り立てるのかを考えるうえで示唆的です。
Calvin LiとHermes Zhou
高級ブランド志向に染まりはじめたばかりである大半の中国人消費者は、どちらかと言えば、超高級な製品ではなく、ぱっと見てブランド品だと分かるような、インパクトの強いブランド品を求めているそうです。Business Insiderは、高級ブランド志向のピラミッドで最下層にいる彼らをカルバン・リー(カルバン・クラインより)と呼んでいます。
一方で、垢抜けた消費者は、時計であれば、ブレゲやパテック・フィリップ、オーディマ・ピゲといったような、知っているものだけがそれと分かるような、ステータスの確立された高級品を好むそうです(前述したBusiness Insiderは彼らのことをエルメス・ジョウと呼んでいます)。
とはいえ、総じてみれば、高級ブランド市場の消費者は次第に洗練されてきており、ルイ・ヴィトンのようなブランドからは距離をおき、ロゴのない高級品に理解を示すようになってきています。
高級感とステータスを兼ね備えたApple Watch
ひるがえってアップルに目を転じた時、Apple Watchはインパクトとステータスシンボルの両方を兼ね備えている、とTech Crunchは分析しています。「Edition」に顕著であるように、ひと目みて高級なアクセサリーであることが分かるだけでなく、テクノロジー界の最先端であるという点でステータスシンボルとしても十分だ、と中国人消費者が好意的に受け止める可能性を、Tech Crunchは示唆しています。
しかし残念ながら、中国メディアでも、欧米メディア同様にEditionは良く思われていないようです。大手検索サイトの百度では、「Apple Watch Editionに見るべきものはない」というタイトルで、「前CEOのジョブズ氏の理念からかけ離れた製品だ」といった批判的なコラムが話題となっています。
このように、良くも悪くも議論を巻き起こしているApple WatchのEditionですが、手にする物理的余裕のない筆者としては、ひとまず発売と売上の発表を待ちたいところです。
参照元:Tech Crunch、Business Insider、百度、http://iphone-mania.jp/news-65439/
執 筆:kihachi