バッテリーの充電は100%になったら、ケーブルを抜かなければいけない――スマートフォンユーザーなら一度は聞いたことがあるであろう、端末を長持ちさせるための教訓です。しかし、実はこの教え、スマートフォン技術の進化によって、すでに時代遅れになりつつあります。
スマートフォンは賢い(スマートだ)
一般的に、スマートフォンに搭載されているリチウムイオン電池には充電回数に基づく寿命があり、充電するごとにその回数がカウントされると言われています。そのため、充電ケーブルに端末を接続しっぱなしにすると、微妙な放電と充電を繰り返し、充電回数が勝手にカウントされていくとされています。
しかし、これは二重に間違っています。
まず、リチウムイオン電池上の充電回数は、100%に相当する量を使い切ることで1サイクルとカウントされます。したがって、50%使った後に50%充電しても、充電回数としては1サイクルではなく0.5サイクルなのです。
次に、最近のスマートフォンは、100%に達すると過充電を防止する装置が搭載されています。
「スマートフォンは名前から察せるとおり、賢い(スマートだ)」と語るのは、電化製品を手がけるAnkerのスポークスマンです。「すべてのユニットはビルトインチップを搭載しており、一度100%に達すると充電を行わないようになっている」
事実、2015年に公開された「なぜリチウムイオン電池なのか」というAppleによる特集ページでも、バッテリーの容量が80%以降になると電流が弱まる「トリクル充電」へと変更され、バッテリーに負荷がかかりにくいモードに自動変更されることが示されています。
バッテリーの消耗を決めるのは酷使の度合い
では、一体何がバッテリーの消耗を決めるのでしょうか。
いち早くApple製品の分解を公開することで知られるiFixitによると「サイクルカウントがすべてだ」とのこと。一般的にスマートフォンのバッテリーは、400サイクル分の充電回数が当てられており、最低でも1年~1年半は持つようになっているとのことです。
同社は、「バッテリーを実際にどう使うか、どれだけのバッテリーに仕事をさせているかにかかってくる」のであって、宵越しに携帯を充電しっぱなしにすることでバッテリー機能が落ちる、といったような事態にはならない、と話します。
また先述のAnkerも、そもそもバッテリーは常に劣化の道を辿っているとし、「夜間に携帯を充電しながら寝ることで、劣化の進行に大きな違いが生じることはない」と、影響が極めて軽微であることを指摘しています。
リチウムイオン電池は暑さに弱い?
もっとも、スマートフォンを充電しっぱなしで寝ることが、全くのノーリスクというわけではありません。
ニュースサイトBusinessInsiderは、リチウムイオン電池が熱によって劣化する傾向があることをAppleもウェブサイト上で指摘している、と紹介します。
Apple製デバイスは、広い周囲温度範囲で正しく動作するように設計されており、最適な範囲は16°C〜22°Cです。特に重要なのは、35°Cを超える周囲温度にデバイスをさらさないことです。バッテリー容量に回復不能な損傷を与える可能性があるからです。つまり、そのバッテリーが一回の充電でデバイスを駆動できる時間が通常よりも短くなります。また、周囲温度が高い場所でデバイスを充電すると、より深刻な損傷を与えることもあります。
人によっては、夏の暑い時期、健康上の観点から夜間にクーラーをつけて寝ることを避ける方も多いかと思いますが、「夏バテ」を起こすのはスマートフォンも同じ、というわけです。
Source:Apple,BusinessInsider
(kihachi)