Appleが10億ドル(約1,100億円)を投じ、オリジナル番組の制作や購入に本腰を入れる模様です。Sony Picturesから引き抜いたテレビ担当役員に権限を与え、AmazonやNetflix、HBOといった競合に真っ向勝負を挑みます。
オリジナル番組制作・購入に10億ドルを投じるApple
Appleが10億ドルの予算を計上し、来年にかけて独自の番組コンテンツの制作と購入に取り組むようだ、と米紙Wall Street Journalが報じています。
Appleは、オリジナル番組「Planet of the Apps」を6月から、そして大人気テレビ番組のコーナーの権利を購入した「Carpool Karaoke」を8月からApple Musicで配信しています。
3月には、Appleの役員がハリウッドで複数の大手制作会社と交渉を行っていると報じられており、今回の動きと関係があるとみられます。
10億ドルはSony Picturesから引き抜いた2人に委ねる
Appleは、6月にハリウッドの大手制作会社Sony Picturesから引き抜いた2人のテレビ担当役員に10億ドルの予算を委ねており、2人はAppleのロサンゼルスオフィスを拠点にハリウッドとの交渉を開始している模様です。
AppleでApple MusicやiTunesなどのサービス部門を率いるエディ・キュー上級副社長に近い人物によると、Appleは番組10本を制作または購入できると見積もっているようです。
エディ・キュー氏の交渉スタイルについては「テレビ業界では通用しない」との声もあったため、業界をよく知る2人に任せるのが妥当と言えそうです。
ドラマ1本1,000万ドルの世界
ただし、10億ドルの予算は番組制作業界では決して大きな金額ではありません。10億ドルはアメリカのTime Warner傘下のケーブルテレビ局HBOが昨年コンテンツに費やした金額の半分とのことです。
番組の制作費は、コメディなら1本あたり200万ドル(約2.2億円)、ドラマなら1話あたり500万ドル(約5.5億円)以上とも言われており、HBOの大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」は1話あたり1,000万ドル(約11億円)に上るとみられています。
Appleは存在感を発揮できるか?
年間2,156億ドル(約23.4兆円)の収益をあげ、2,610億ドル(約29兆円)もの現金を保有するAppleですが、売上の多くをiPhoneに頼っています。
サービス事業の収益規模がFacebookを超えたとはいえ、主要市場でのスマートフォン普及が頭打ちになった今後、ライバルひしめく番組配信ビジネスでAppleがどこまで存在感を示せるか、注目が集まりそうです。
Source:The Wall Street Journal
(hato)