これほど「迷走」という単語が似つかわしい状況もないでしょう。これまで東芝のメモリー事業売却は、当初交渉を進めていた日米韓連合ではなく、Western Digitalに優先交渉権を付与する方向で調整が進んでいました。しかし、1週間経っても目処が立たないことから、Western Digitalとの月内合意は白紙となり、新たにAppleが加わった日米韓連合との提案などとも比較し、引き続き検討を続ける方針であることが分かりました。
東芝の足枷となってきたWestern Digital
優先交渉権を得られなかった時点で、Western Digitalは東芝に対して法的措置も辞さない態度を示しており、日米韓連合と話し合いを進めるうえでの障壁となってきました。
売却までのタイムリミットが近づいていることから、東芝は24日、Western Digitalに独占的な交渉権を付与する方針を固めていましたが、両社間での条件交渉が出資比率の問題などで難航しており、期限内に売却先として絞り込めなかったことが新たに分かりました。
日米韓連合にApple参戦
これを受けて、日米韓連合とFoxconnは、それぞれ改めて買収案を東芝に提示しています。
特に注目したいのが、日米韓連合にAppleが加わったことです。
これまで同連合は、三菱UFJフィナンシャルグループが5,500億円、政府系ファンドである日本政策投資銀行と革新機構がそれぞれ3,000億円、8,500億円を米系ファンドのBain Capital(そのうち4,000億円は韓国半導体大手のSK Hynix)が担当していました。
そして今回、Appleが参加したことによって、Bain CapitalとSK Hynixが1兆1,000億円、Appleが4,000億円を捻出、銀行の融資を合わせて最大2兆円を超える規模の買収資金となる見通しです。
なお、これまでAppleは、iPhoneのサプライヤーであるFoxconnと協力して買収に乗り出す方針が報じられていました。
残された時間はわずか
上場廃止のタイムリミットが近づく前に、5,500億円の債務超過を解消し、独占禁止法の審査をクリアするには、8~9月の段階で契約を完了させていなければなりません。
したがって、東芝に残された猶予は、残り1カ月を切ったことになります。
Source:Reuters,日本経済新聞
(kihachi)