「格安SIM」「格安スマホ」として認知度が高まりつつあるMVNO事業者について、NTT、KDDI、ソフトバンクといった大手携帯キャリアのグループによる寡占化が進んでいる可能性があるとして、総務省が調査に乗り出す方針を固めた、と日本経済新聞が報じています。
MVNOの新規契約数、半分は大手キャリアのサブブランド
大手携帯キャリアの通信設備を借りることで、自前設備の設置・運営コストを下げて低料金を実現するMVNO各社は、「格安SIM」「格安スマホ」として近年注目を集めており、2017年9月にMMD研究所が実施した調査ではメイン利用者が8.5%と、この3年間で5倍の伸びを記録するなど、存在感が出てきています。
一方で、日本経済新聞社の調査によると、MVNOといっても新規契約の半分はKDDIグループのUQモバイルや、ソフトバンクグループワイモバイルといった、いわゆるサブブランドが占めており、大手による寡占が進んでいるのではないか、とも指摘されています。
大手キャリア各社が、MVNOに対抗した料金プランを打ち出して顧客獲得に乗り出した影響もあり、「格安スマホ」と注目を集めた一時期の勢いが薄れているのも事実です。MM総研は、SIMフリースマホの予想台数が当初予想を下回ったことから、今後の出荷予想も引き下げています。
MVNOの業界再編を含め寡占化の状況を調査
総務省は11月20日に開催した有識者会合の「電気通信市場検証会議」で、MVNO市場が大手キャリアによる寡占化が進んでいないかの確認を行うことを決定しました。
公開されている会議資料は、KDDIによるビッグローブやソラコムの完全子会社化などの業界再編の結果、大手グループによる寡占化が進んでいるとの問題意識が読み取れる内容となっています。
資金力や事業規模の点で、独立系MVNOが大手企業グループに太刀打ちするのは難しく、大手グループによる寡占が進めば、料金が高止まりするなど、ユーザーの利益が損なわれる可能性が考えられます。
今後、調査と検討が進められ、早ければ来年4月に結果がまとめられる見通し、とのことです。
私たちユーザーとしては、料金や通信速度など、ユーザーのニーズに即した検討結果がまとめられることに期待したいところです。
Source:日本経済新聞, 総務省(電気通信市場検証会議)
(hato)