今秋公開されたiOS13やmacOS Catalinaは、多くの新機能が追加された一方で、バグも多いと言われています。元Appleのソフトウェアエンジニアが、最新バージョンのOSにバグが多い理由を語っています。
バグが多いと言われるiOS13
iPhone向けの最新OSであるiOS13は、一般ユーザー向け正式版が公開される前に、iOS13.1のベータが開発者向けにリリースされました。これは極めて異例のことで、関係者を驚かせました。
その後もマイナーアップデートが矢継ぎ早に公開されており、現時点での最新版はiOS13.1.3です。
現時点でも、一部のユーザーで通信が突然切れるなどの不具合が発生しています。
macOS Catalinaは、正式版公開の1週間後に追加アップデートが公開されたものの、一部ユーザーがiCloudフォトの問題を報告しています。
Appleの元ベテラン技術者が語る
Appleで18年間、ソフトウェアエンジニアとして勤務したデビッド・シャイアー氏は、iOS13やmacOS Catalinaにバグが多い理由を以下のように分析しています。
理由1:機能が多すぎる
Appleは今回のバージョンで新機能を数多く追加しすぎた結果、iCloud Driveのフォルダ共有などの機能は公開が延期されているほか、一部の機能が正常に動作しないまま公開されてしまう事態を招いている、とシャイアー氏は指摘しています。
理由2:クラッシュレポートが不正確
アプリの強制終了などのバグをAppleに報告するクラッシュレポート機能が、システム全体の終了につながるバグしか報告できていない、とシャイアー氏は述べています。そのため、iCloud写真共有などの不具合を、人力でテストしなくてはならなくなっているそうです。
理由3:バグ対応の優先順位
Appleは、バグの深刻さに応じて整理しているそうです。しかし、その結果として正式公開が近づいた段階で、最も深刻なバグしか修正されていない、という状況を招いている、とシャイアー氏は語っています。
理由4:古いバグが生き残る
シャイアー氏は、新しいバージョンのソフトウェアに、古いバグが残っており、修正されていない場合があるようだ、と指摘しています。
理由5:自動テストが活用されていない
Appleは、バッテリー性能などの検証に自動テストシステムを使用しているそうです。しかし、結局のところ人力でのテストに頼りすぎている、とシャイアー氏は述べています。
理由6:複雑化したAppleのエコシステム
Appleが多くの種類の製品とサービスを販売しているため、開発やテストの難易度が上がっている可能性があります。
Appleはどう対策するべきか?
Appleは、ソフトウェアアップデートによってバグの修正を続けると見込まれます。しかし、ソフトウェアの不具合が多発するとApple製品への信頼が損なわれる可能性があります。
対策として、1年に1回最新バージョンを提供するサイクルを延長し、大幅なアップデートの年と、昨年のiOS12のように安定性向上に主眼を置いたアップデートの年を組み合わせたサイクルとすることをシャイアー氏は提案しています。